VOICES

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平岡で働く人の声

100-1は99やない。
それはゼロなんや。

01

取締役工場長

寺﨑 克美

KATSUMI TERASAKI

頑張りは認めるけど結果は大切。
仕事はどんだけ頑張ったかではない。

厳しいことを言いますが、24時間稼働でどんだけ頑張っても、納期のタイミングで完璧な完成品が1つでも揃ってなければ失敗ということになるんです。私達、モノを作る者としてそれは致命的なことでして、例えばお客さんから100個の受注をいただいてるのに99個しか間に合わなければミッションは失敗です。そして時間だけでもなくてね、100個のうち1つでも欠陥品が混じっていたなら、私達の会社の技術や製品力に疑問を抱かれる大問題でしょう。自分たちの仕事へのプライド、そういう想いももちろんですが、お得意先の皆さんの期待も裏切ってしまう、仕事の契約をとってきてくれた営業にも合わせる顔もない、完全な失態なのです。

困った時にこそ考えられる力、
判断力と行動力は自分を助けてくれる。

地域の少年少女たちに“ものづくり”の楽しみを教える教室に時折参加していまして。そこではみんな一生懸命集中して頑張っています。かわいいものです。万事がスムーズに行けばいいし、私もそうあってほしいと思っています。でもうまくいかないこともたくさんあります。そこまでの努力は評価に値するし美しい。つい手を貸してあげたい気持ちにもなります。ただ、思い通りにいかなかった時こそただ諦めるんじゃなく考えてほしい。何かが原因で成功しなかった、ではどうすればうまくいくか…それを考える、自分で解決する力を養ってほしいと思うのです。見直して問題を分析する力、これまでの経験を応用する力、それを育ててあげたい。将来社会に出て、たとえばものづくりの世界だけじゃない、何かの問題に直面した時に乗り越えるための力、その素養を今こそ育ててあげたいと思うのです。途中で投げ出さず、自分で最後までやりとおせる人物は、きっとどんな会社や職場ででも必要とされるはずだと思いますから。

自分が必要とされ頼られた時に、
自分のアイデンティティに気づかせられる。

あれは私がようやく入社5年目くらいでした。「寺崎さん!機械の調子が変!製品がちゃんとできない!来てくれへんか!」という電話を深夜にもらい、慌てて駆けつけたのです。「昼は問題なかったし、設定も指示も報告も完璧やったはずやのに…なんでや!」と思いました。プラスチック成形というのは非常に繊細でデリケートな作業でして、金型はもちろん、ポリマーの圧力と速度、外気の温度や湿度、製品を取り出すタイミングまで、一日として同じ環境ではない中で細やかな調整がないと完全に均一な製品をつくることはできません。「どうして…」という悔しさもありました。深夜の呼び出しにいら立ちもありました。だけど、不思議な嬉しさもありました。難しい作業の中で自分が頼られている、必要とされている、という感覚。私は機械相手だけを相手に仕事をするわけじゃない、監視してるだけじゃない。スタッフという仲間に頼られ、製品の納期を何が何でも全員で守ることでお客様の信頼を得る。だったら仲間の期待も裏切られるわけがないです。

仲間のこと、会社全体を考えられる人、
そんな社員を育てていくのが自分の使命。

好きな酒も飲めないし、車とバイクが趣味でしたが1時間以上かかる場所には遠出することもできません、20年近くそんな生活をしてました。今でこそ、後輩たちも育ってくれ、各時間帯の責任者がしっかり対応してくれるようになりました。仲間を思う、会社を思う気持ちを誰もが持ったまま。おかげで先日は家族を連れて北海道旅行に行けるまでになりました。技術者というのはなかなか部下に仕事を任せられない風潮が業界的にあります。でも、それじゃダメなのだと思っています。他の職域にいる人の気持ちも含めて考えられる人間、そして枠を超えて会社全体を考えられる、そのための行動がとれる人間を、これからも育てていくことが将来のため、会社のためになるはずですから。育成は簡単じゃないけど大切なこと、だからこそ、私もまだまだ立ち止まらないよう心がけています。